
リストラや自然災害、さらには新型コロナウイルスなど、人生には何があるか分からないもの。
色々なリスクに備えていたつもりでも、住宅ローンの返済に困ることが絶対にないとは言えません。
余裕をもった返済計画で家を建てるのは大前提としても、ローンが払えなくなったらどうなるのか、何をしたら良いのかを知っておくことは大切です。
住宅ローンの支払いに困った時、手段のひとつに「任意売却(にんいばいきゃく)」があります。
聞きなれない言葉かもしれませんが、覚えておいて損はありませんよ!
住宅ローンが払えなくなるとどうなる?
住宅ローンを延滞すると、すぐ差し押さえられて競売にかけられる!問答無用で路頭に迷う!というイメージがありませんか?
もちろんローンを払わずにずっと住み続けることはできませんが、延滞するとすぐに競売にかけられて追い出されてしまう、という訳ではないんです。
一般的には3ヶ月がタイムリミット。3ヶ月ほど延滞が続くとローンを返済する権利がなくなり、金融機関から「一括返済」を求められることになります。(期限の利益の喪失、と言います。)
でも、そもそも月々の支払いができない状況で、一括返済なんて絶対ムリ!ですよね。そのため、物件を売却して手放し、売ったお金でローンを返済することになります。
ヤバい時は、とにかくすぐ金融機関に相談!
次の住宅ローンの支払いがヤバい!という時にまず最初にすべきなのは、金融機関への相談です。
銀行などローンを借りている金融機関へ行き、借入の条件を変更する相談をします。
少しでも早く、できれば滞納してしまう前に相談に行きましょう!
職場の倒産やリストラ、健康上の理由などで返済がむずかしくなった場合などは、救済措置を受けられる可能性があります。
金融機関との相談によって返済期間の延長や金利の減免などができれば、月々の支払い額を少なくできます。
「任意売却」って何?競売とどう違うの?
それでもローンの支払いが難しい場合は競売にかけられる前の手段として「任意売却」を検討してください。
競売(不動産競売)は、もし所有者が同意していなくても強制的に物件を売られてしまうもの。銀行などの債権者の申し立てにより、裁判所がその不動産を売りに出してしまいます。
それに対して任意売却はその名のとおり「任意」でできるもの。強制的に売却されることはありません。金融機関(債権者)と合意のもとに住宅ローンの対象となっている物件を売り、その代金をローンの返済にあてます。不動産業者を介して、物件を広く一般の市場に売り出すことになります。
任意売却のメリットって?
・市場価格に近い価格で売れる
競売の不動産は内覧ができない、ローンを組むことが難しいなどの特殊なルールもあり、安い価格で売買されます。
そのため、物件にもよりますが、一般的には競売よりも任意売却のほうが高い価格、いわゆる市場価格に近い価格で売れることが多くなります。高く売れれば売却した後のローン残債が少なくなり、銀行側にとっても回収額が大きくなるため、所有者と銀行のどちらにとってもメリットがあります。
・プライバシーを守れる
競売物件の情報は、国の機関紙や不動産競売物件情報サイトなどに掲載されます。
そのため住宅ローンを延滞していること、自宅が競売にかけられていることなどを内緒にしたくても、近所の人や職場などにバレてしまう可能性があります。
任意売却では、ふつうの不動産の売却と同じような流れで進むため、プライバシーを守れます。売りに出されている物件情報などを見ても、住宅ローンを延滞していることは分かりません。
・余裕をもって売却できる
競売では、裁判所の決定により売却が強制的に進んでいきます。価格や時期などについて、所有者の希望を考慮してもらうことはできません。
任意売却の場合は、金融機関が合意してくれれば所有者の事情や要望を考慮してもらうことができます。
売却を担当する仲介業者が買い主との間に入って調整してくれるため、引越しの時期や売却価格などの希望が通りやすくなります。
大切なマイホーム。無理のない返済計画を!
家族の夢がつまった大切なマイホーム。簡単に手放すことは避けたいですよね。
無理をしない返済計画をたててのぞむのはもちろん、いざという時にあわてないように、任意売却などの制度を知っておくことは大切です。
環境の変化などで返済がきびしくなりそうな時は、できるだけ早めに金融機関に相談してくださいね!