
熊本県内に多数ある住宅メーカー。だからこそ悩むのが「どこに頼むのか」という点です。
本当のお付き合いは建ててからですので、できれば「どこに」というよりも「誰に」頼むのかで考えた方が納得しやすいもの。
とはいえ、いつ退社するのかわからない営業担当者に傾倒しすぎるのも怖い話です。見極めるは営業担当者ではなく代表者。
今回、異業種から住宅メーカーの世界に飛び込んできたArasen House【アラセンハウス】の代表取締役 益田社長にお話を伺ってきました。
相場はあるけど定価がないことが不思議だった
ー本日はよろしくお願い致します。
「よろしくお願い致します。最初もう、家の売り方とかも全く分からない状態でオープンしたので、初期のお客様にはいろいろ教えていただいたほどで(笑)」
ーオープン当初は値段を提示している住宅メーカーって多くはありませんでしたよね?
「そうですね。自分でもそこが疑問だったんです。なんで相場はあるのに、家って定価がないんだろうって」
ー確かに。なんとなく”家って高いんだろうな”なんてことはわかりますが、実際に契約しないと具体的な金額ってわからないことの方が多いものです。
「そこが、ずっと腑に落ちなくてですね(笑)。だって予算には限りがありますよ。熊本市内で土地から探そうと思うなら、土地だけでも1,500万円はみておかなきゃいけないでしょ。そこから手建物の値段の予算を検討するんですが、そんな何千万円もかけられないですよね。
大体、今支払っている家賃と同じ、もしくは出しても1万円~2万円。
建物の値段の定価がよくわからないからこそ、複雑化しているのもある気がして、だったらわかりやすく提示しておいた方がいいよなって思ったことが始まりですね」
1,000万円でどこまでできるのか
1,000万円で家が建つのならば願ったりかなったりですが、こと、住宅に関してはなぜか今も「安かろう悪かろう」という気質が横行しています。
ーあえて「1,000万円」という価格帯にこだわった理由を教えていただけますか?
「特にこだわった訳では(笑)。ただ、先に話したように、そんなにみんな予算があるわけじゃない。”自分たちじゃまだ無理かな”という層にも夢がかなうという価格帯がそれかな。
あとは、1,000万円でどこまできるのか?をみせたかったのもあるかもしれません」
そう。業界へのアンチテーゼともいえるこの反骨精神が、アラセンハウスの真骨頂。
価格を前面に出す事で、住宅を検討しているユーザーにとっては非常に分かりやすくなったものの、調和を重きにおく住宅メーカーからは、あまりいい顔をされないのは、想像に難くありません。
「だから僕、あんまり業界でのお友達っていないんですよね」
そう笑いながら話す益田代表。
「でも、それもいいかなって思うんです。仲良くなることは大事だけど、そこで”しがらみ”が生まれてしまうと、本当に自分がやりたいことができなくなってしまうかもしれないという危惧がある。
まあ最近は、ちょこちょこお付き合いは増えてきましたけどね」
長いものにまかれていれば、摩擦は避けられます。しかし、長いものに巻かれすぎると、結果、己のクビまで締まってしまうー。そんなことも決して珍しい話ではありません。
益田社長はこう続ける。
「クレーム産業というイメージがあるのもイヤだったんですよ。大きな買い物なのに苦労が多いわ、よく分からないわ。では、互いに良くないし、残念だなと感じる」
確かに、住宅に関して専門用語の多さや、一般人は知らない慣例など「家を建てようと思うけど、考えることが多すぎて結局面倒になる」という事も往々にして存在します。
せめて事前に金額だけでも打ち出してあれば、その分1つ顧客にとって悩みが減るし、予算も決めやすい。
一般社会においても同様のことが言えます。「この業務無駄だよな」と分かってはいても、慣習化を壊すまでの勇気は持ち合わせていない。しかし、そこに風穴を開けたのが、アラセンハウスだったのです。
値段ありきではなく家の性能を重視
住宅の世界も日進月歩。
今は高気密高断熱であったりなど標準仕様もどんどん変化を遂げています。そこでアラセンハウスが次の一手として販売したのが「ゼロエネルギー住宅」。
その分価格帯は上がったものの、光熱費が不要になる仕様にしているので、今まで支払っていた分の家賃プラス光熱費で住宅ローンの返済ができるよう価格設定をしています。
ーもはや「アラウンド1,000」ではなくなったような(笑)
「主力は2,000万円台が多くなってきましたね。もちろん1,000万円台のものもまだありますが。とにかく昔は「何もかもコミコミでこのお値段!」みたいな、値段ありきを前面に出してました。
しかし顧客満足度って値段ありきじゃないんですよね。
いくらであっても満足できる商品でなければ、クレームがくる。クレームが多くなると社員が疲弊して離職率が高くなる。悪循環だよね。そこから脱却するには、値段ありきではなく、デザイン性や品質の良さを追求しないと、と思い性能を上げています」
確かに値段だけでは顧客満足度は上がりません。
顧客が想定している期待値以上のものを常に提供しつづけること。そして、それを叶えるために不可欠なのは、従業員の満足度。
そこで、会社を分社化し、それぞれの得意分野を特化することで、仕事も回るようになってきたのだとか。
「最も大事にしなきゃいけないのは、長く事業を続けていく事。それが顧客満足度にも繋がると考えています」
とても柔らかい雰囲気の中にも、1本の筋がピシリと入っているという印象を持つ益田社長。
これからもどんどん進化を続けるアラセンハウス。
気になる内部は、熊本市内に3店舗(熊本中央店、熊本南店、水前寺店)あるので、お気軽に見学されてみてはいかがでしょうか。